トランプ大統領、AI大統領令署名を当日延期 内容に不満

トランプ氏、AI大統領令の署名を当日延期 対中優位への影響懸念で条文再検討

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トランプ米大統領は現地時間21日、人工知能(AI)に関する大統領令への署名を当日になって見送った。ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、内容の一部が「気に入らなかった」と説明し、米国がAI分野で中国や他国をリードしている状況を妨げたくないとの考えを示した。

直前で止まったAI大統領令

署名は21日午後に行われる見通しだったが、直前に見送られた。延期は、大統領令そのものの白紙化ではなく、条文の中身をめぐる大統領判断が予定に割り込んだ形だ。

複数の米主要メディアによると、大統領令案にはAI安全性やサイバー安全保障上の懸念に対応するため、先端AIモデルの公開前段階で政府と企業が連携する任意の枠組みや、対象技術への事前アクセスに関する要素が含まれていた。要するに、一般公開前の先端AIモデルについて、政府が早めにリスクを把握できる仕組みが、報道ベースで論点になっていた。

ただ、こうした関与が企業の開発速度や米国の競争力を損なうと受け止められれば、トランプ政権が掲げるAI主導権重視の路線との間に緊張が生じる。今回の延期は、安全性やサイバー対策の必要性と、対中競争で優位を維持するという政治判断が、具体的な条文調整の場で交差した出来事である。

政権の基調は「AI競争で勝つ」

トランプ政権は2025年1月23日の大統領令で、米国のAI主導権を妨げる障壁の除去を掲げ、前政権のAI大統領令14110を撤回した。同年7月23日には「Winning the AI Race: America’s AI Action Plan」を公表し、AI競争で勝つことを政権の基本方針に据えた。2026年3月20日に示した国家的なAI立法枠組みでも、イノベーションと米国の競争力維持を強調している。

今回の判断は、こうした路線が抽象的なスローガンにとどまらず、個別の大統領令案の扱いを左右する基準として働いたことを示す。今後は、署名がいつ再設定されるのか、最終条文が公開前モデル審査にどこまで踏み込むのか、サイバー安全保障をどこまで含むのかが焦点となる。

公開前モデルの共有や政府の事前アクセスに関する条項が最終版に残るかも重要な点だ。先端AIは経済競争力の源泉である一方、サイバー攻撃や安全保障上のリスクにも直結する。米国が開発競争の速度を落とさずに、政府の関与をどこまで設計できるかが、今後のAI政策運営の争点となる。

参考・出典

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