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米国、英国、オーストラリアの3カ国は5月30日、シンガポールで開いたAUKUS防衛相会合で、先端能力協力を担うPillar IIとして初の「Signature Project」を発表した。米国のピート・ヘグセス国防長官、英国のジョン・ヒーリー国防相、オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防相が打ち出したもので、各国の無人潜水艇(UUV)向けに先進的なペイロードと関連システムを開発し、2027年から引き渡しを始める。
無人潜水艇の「搭載能力」を強化
今回の計画の中心は、3カ国が共通の無人潜水艇本体を新たに造ることではなく、UUVに搭載して任務能力を高めるペイロードと、それを支える関連システムの開発である。ペイロードはセンサー、航法機器、攻撃能力など、機体が任務を果たすために搭載するシステムを指す。関連システムは、UUVが情報を共有し、有人・無人の他の装備と連携して動くための仕組みだ。機体そのものよりも、「何を見つけ、どう動き、どの部隊と連携するか」を強くする取り組みといえる。
想定される用途は広い。海底ケーブルやパイプラインなど重要な海底インフラの防護に加え、監視・偵察・打撃、兵站運用、対潜戦、対水上戦、機雷対処、電子戦、沿岸部での機動能力の強化が挙げられている。海中は商取引、軍事、国際安全保障を支える重要な空間であり、目に見えにくい領域での探知力と対応力を高める狙いがある。
開発は段階方式で進む。まず各国がそれぞれ異なる効果を担う国別ペイロードを開発し、その後、3カ国で共通のペイロードと関連技術の共同開発・共同生産へ広げる構想だ。装備をばらばらに増やすのではなく、同盟国間で使いやすい形にそろえることで、共同作戦での相互運用性を高める意味合いが大きい。
Pillar IIの具体化の節目
AUKUSではこれまで、オーストラリアへの原子力潜水艦協力を柱とするPillar Iが注目を集めてきた。今回の発表は、先端技術や海中能力などを扱うPillar IIでも、引き渡し開始時期を伴う具体案件が動き出すことを示す節目となる。ヘグセス長官は記者団に対し、この計画が3カ国の技術面での優位維持につながるとの趣旨を説明した。
一方で、事業費の総額、各国がどの種類のペイロードを主導するのか、対象となるUUVの機種や数量、配備計画などの詳細は明らかにされていない。2027年に始まるのは引き渡しであり、3カ国全体の運用体制が同年中に完成することを意味するものではない。
参考・出典
- AUKUS Defence Ministerial Joint Statement: 30 May 2026 – GOV.UK
- AUKUS Pillar II fact sheet: Uncrewed Undersea Vehicles – payloads and enabling systems – GOV.UK
- Joint Statement, AUKUS Defence Ministers’ Meeting | Defence Ministers
- AUKUS partners unveil plan to develop underwater drones by 2027 – ABC News
