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ヘグセス米国防長官は5月30日、シンガポールで開かれた国際戦略研究所(IISS)シャングリラ会合で、米国のインド太平洋戦略を説明した。中国との関係については安定した平和や公正な通商を目指す姿勢を示しつつ、中国の軍備増強への警戒を維持し、アジアの同盟・友好国には防衛能力の底上げを求めた。欧州には米国への依存を改めるよう厳しく迫り、複数の主要報道によると、アジアの同盟・友好国にも防衛費をGDP比3.5%へ引き上げるよう求めた。3.5%という水準は各国の財政・安全保障政策に大きな影響を及ぼし得るため、米国の負担増要求が欧州からインド太平洋にも広がった点が焦点となる。
対中安定と抑止強化の両立
演説は、5月29日から31日までの日程で開かれたシャングリラ会合の第1回本会議「インド太平洋における平和のための米国の戦略」で行われた。ヘグセス氏は、インド太平洋を引き続き米国の優先地域と位置づけ、中国とは「安定した平和」「公正な通商」「相互尊重の関係」を目指す趣旨を示した。
ただし、対中姿勢は融和への転換ではない。演説では中国の軍備増強への警戒も打ち出し、地域の均衡を保つには、アジアの同盟・友好国がより強く、自立した防衛態勢を築く必要があると訴えた。米中関係を不必要に悪化させない一方で、軍事面では抑止を緩めないという二本立てのメッセージである。
日本、豪州、フィリピンなどを含むアジアのパートナーについては、防衛負担を増やし、能力を高めているとして評価した。米国が一方的に地域の安全保障を担うのではなく、同盟国も装備、人員、予算の面でより大きな役割を果たすべきだという考えが前面に出た。
欧州に向けた厳しい負担増要求
ヘグセス氏は欧州に対して、長年にわたり米国の増額要求に十分に応えてこなかったとして厳しい姿勢を示した。トランプ政権は、欧州の同盟国が米国の軍事力に依存しすぎていると繰り返し批判してきた。今回の発言は、その不満をアジアの安全保障会議の場でも明確に示したものだ。
焦点となるのは、GDP比3.5%という水準が欧州向けの議論にとどまらず、アジアの同盟・友好国にも求める基準として示された点である。各国がこの水準を公に受け入れるか、どの時期に達成を目指すかは定まっていない。防衛力強化を評価されたアジア側にとっても、追加負担の要求は避けて通れない課題となる。
翌31日の会合では、小泉進次郎防衛相が「分断は、抑止を弱めます。結束は、抑止を強くします」と述べ、米国、欧州、同盟国・同志国の間に隙間を生まない必要性を訴えた。米国の負担増要求が強まるなか、各国が防衛投資の拡大と同盟の結束をどう両立させるかが、今後の論点となる。
参考・出典
- Pentagon chief sounds ’alarm’ over China’s buildup, urges allies to boost defence spend By Reuters
- US castigates Europe over defence spend as NATO reassures Asia
- Hegseth tones down warnings about China but says US remains committed to Pacific security
- American allies warn division weakens deterrence in calls for global unity to meet new threats
- IISS Shangri-La Dialogue 2026: Plenary Session 1
- US Secretary of War Pete Hegseth to speak at IISS Shangri-La Dialogue 2026
- Shangri-La: Hegseth Calls on Western Pacific Allies to Maintain Military Strength, ‘We Need Partners, Not Protectorates’ – USNI News
