英シンクタンクIISS、台湾巡る米中衝突で指揮通信中枢攻撃と核リスク警告

IISS、台湾有事で米中の指揮通信網攻撃を警告 核リスク管理の弱さも指摘

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英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は2026年5月28日に公表した地域安全保障評価で、台湾を巡る米中衝突のシナリオについて、双方が相手の指揮・通信中枢を狙う大規模作戦に発展し、核レベルへのエスカレーションリスクを伴うと警告した。通常戦の攻撃対象が相手の戦略判断を支える中枢に及ぶ場合、抑止や誤算の管理が難しくなるとの見立てだ。

指揮・通信網を狙う多領域作戦のリスク

IISSの「Asia-Pacific Regional Security Assessment 2026」は156ページにわたり、アジア太平洋の軍事ドクトリンの変化や台湾有事の展開可能性を検討した。報告は、台湾を巡る米中衝突では、両国の戦略目標が異なっていても、海空域だけでなく宇宙、サイバー、電子戦を含む広範な領域で作戦が拡大し得るとみている。

焦点となるのは、C4ISRと呼ばれる指揮・統制・通信・コンピューター・情報・監視・偵察の機能だ。これは軍が状況を把握し、部隊に命令を出すための「神経網」に当たる。報告は、台湾有事で米中双方がこうした重要ノードを攻撃対象にし得ると指摘した。

問題は、こうした応酬をどこで止めるのかという共通認識が十分に見えていない点にある。IISSは、攻撃の範囲を抑えるためのガードレールや交戦規則について、両軍が十分に共有していることを示す公開証拠は乏しいとした。

核リスクが集まるアジア太平洋

IISSは今回の評価で、アジア太平洋を新たな核軍拡競争の中心に位置付けた。核兵器を持つ国や地域に戦略的利害を持つ国が核戦力を拡大する一方、非核保有国も長距離の通常打撃能力を追求しており、危機時に相手の意図を読み違える余地が広がっている。

IISSのシニアフェロー、ダニエル・ソールズベリー氏は、米中間では米ソ冷戦期のような核リスク低減や軍備管理の対話基盤が十分に整っていないとの問題意識を示した。冷戦期の米ソは激しく対立しながらも、偶発的な核衝突を避けるための連絡や管理の仕組みを積み上げたが、米中では同種の実務的な枠組みがまだ弱い。

評価の公表は、シンガポールで2026年5月29日から31日まで開かれるアジア安全保障会議、通称シャングリラ会合の直前となった。台湾問題に加え、核抑止や地域安全保障の危機管理が、各国防衛当局者の主要論点として扱われる見通しだ。

参考・出典

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