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米国が進める対イラン外交に、イスラエルとの関係正常化を広げる構想が重ねられた。トランプ大統領は5月25日、サウジアラビア、カタール、パキスタン、トルコ、エジプト、ヨルダンに対し、アブラハム合意への参加を求めた。イランとの戦争終結に向けた合意を地域秩序の再編と結び付ける狙いがにじむ一方、パキスタンのカワジャ・アシフ国防相は26日、同国の「基本理念」に反する合意には加わるべきではないとして、否定的な姿勢を示した。
イラン外交と結び付けた正常化要求
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、対象国がアブラハム合意に「直ちに」署名すべきだとの趣旨を表明した。アブラハム合意は、アラブ諸国などとイスラエルの国交正常化を広げる枠組みで、単なる外交文書にとどまらず、中東の勢力図を塗り替える意味を持つ。
トランプ氏は23日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、パキスタン、トルコ、エジプト、ヨルダン、バーレーンの指導者らと電話協議したとされる。アラブ首長国連邦とバーレーンは既にアブラハム合意の参加国であり、エジプト、ヨルダン、トルコはイスラエルと外交関係を持つ。今回の働きかけは、未参加国への参加要求に加え、既に関係を持つ国も含めて地域的な政治枠組みを広げようとする動きといえる。
今回の提案は、イランを巡る停戦・合意交渉と並行して打ち出された。トランプ氏はこの数日、交渉は進んでいるとの見方を示してきたが、26日にはルビオ国務長官が合意文言の調整に数日かかる可能性を示し、米軍によるイラン南部への「自衛」攻撃も報じられた。イラン問題の沈静化とアブラハム合意拡大を同時に進める構想は、なお実務面でも政治面でも不確実性を抱えている。
広がる構想と残る抵抗感
パキスタンのアシフ国防相はSamaa TVで、同国の基本理念に反するような合意に参加すべきではないと述べた。パキスタンはイスラエルとの関係正常化に慎重な姿勢を続けてきた経緯があり、今回の発言はトランプ氏の要請に対する最初の明確な否定反応となった。
複数報道では、サウジアラビアについても、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が一時は正常化に前向きな姿勢を見せたものの、この1年で姿勢を冷ましてきたとされる。ガザ情勢を背景に、イスラエルとの関係正常化は各国の国内世論や対パレスチナ政策と切り離せない問題になっている。
今後は、サウジアラビアやカタール、トルコ、エジプト、ヨルダンが、米側の要請をどの段階の外交案件として扱うかが問われる。アブラハム合意拡大がイランとの合意文書や停戦枠組みに正式条件として入るのか、それともトランプ氏の政治的圧力にとどまるのかは確認されていない。ガザ情勢への反発、各国の対パレスチナ政策、イラン交渉そのものの行方が、構想の実現性を左右する。
参考・出典
- Trump links Abraham Accords to any Iran deal | MarketScreener
- Trump asked Muslim leaders to join Abraham Accords after Iran war ends
- Trump says a deal with Iran and opening of Strait of Hormuz are ‘largely negotiated’
- Pakistan rules out joining Abraham Accords after Trump call for wider Arab-Israel deal
