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製鉄所の副産物を、CO2を閉じ込めるコンクリート材料として活用する研究成果が公表された。鹿島建設、東北大学、宇都宮大学、JFEスチールは6月30日、炭酸化した製鋼スラグを混和材に使い、CO2固定と圧縮強度向上を両立する技術の有効性を確認した。2029年度の実構造物への適用を目指す。
炭酸化スラグ1トンにCO2約280キログラム
4者は2024年4月、「鹿島×東北大学 環境配慮型建設材料 共創研究所」を拠点に共同研究を始めた。JFEスチールが製鋼スラグに排ガス由来のCO2を取り込ませた炭酸化スラグを試製造し、分析の結果、CO2が炭酸カルシウム(CaCO3)として安定的に固定されていることを確認した。
試製造した炭酸化スラグに含まれるCO2は、1トン当たり約280キログラムだった。4者は、CO2の回収・有効利用・貯留に活用するCCUS材料として、十分な固定量を持つと評価している。
低セメント配合で圧縮強度が向上
強度試験では、炭酸化スラグを混和したコンクリートの圧縮強度が、比較対象の一般的なコンクリートを上回った。特に、セメントの多くを高炉スラグ微粉末で置き換えた低セメント型コンクリートでは、材齢1日の圧縮強度が約2.6倍、材齢28日では約1.4倍となった。
初期強度が高まれば型枠を早期に外せる可能性があり、必要な強度を確保しながらセメント使用量を減らす効果も期待される。今回の数値は試験で用いた配合条件に基づく結果で、4者は今後もコンクリートの諸性状と耐久性の検証を続ける。
製造・配合・耐久性を4者で分担
研究では、JFEスチールが排ガス由来のCO2を製鋼スラグに固定する製造技術を担当した。鹿島建設はコンクリートの配合と基本物性、東北大学は材料分析と強度発現の仕組み、宇都宮大学は耐久性をそれぞれ検討している。
国土交通省の「土木工事の脱炭素アクションプラン」は、国交省の直轄工事で使うコンクリートについて、CO2を固定した炭酸塩原料などの活用を進めるロードマップを示している。技術開発や試行を通じて適用範囲、供給体制、費用対効果を検証し、2030年ごろ以降は用途などを指定して使用を原則化しながら、対象を順次拡大する方針だ。
今回の技術は、製鋼スラグを再利用しながらCO2を建設材料に固定する点で、資源循環とコンクリートの脱炭素化を組み合わせる。4者は製造プロセスや耐久性などの検証を続け、2029年度に実構造物へ適用することを目指す。対象となる構造物、適用規模、量産時の供給体制は公表していない。
