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NTTは4日、アイルランドのMBRYONICSと宇宙向け光通信分野のパートナーシップに関する覚書(MoU)を3日に締結したと発表した。宇宙向け光通信プラットフォームを手がけるMBRYONICSと組み、次世代情報通信基盤構想「IOWN」で培う光通信・信号処理技術を宇宙分野へ展開する。協業では、NTTのデジタルコヒーレント技術を用いた光トランシーバモジュールの開発を進める。
商用OCTへの搭載を視野
MoUに基づき、MBRYONICSはNTTのデジタルコヒーレント技術を組み込んだ光トランシーバモジュールを開発する。デジタルコヒーレント技術は、光の明るさだけでなく波としての性質も利用してデータを送る通信技術で、長距離・大容量通信の性能を左右する中核技術にあたる。
このモジュールは、商用化が予定されている複数の宇宙向け光通信端末(OCT)に組み込まれる計画だ。NTTは、同モジュールの適用により、宇宙空間での通信速度を従来方式より10倍以上高められるとしている。
共同発信では、今回の提携を宇宙用途向けコヒーレント光トランシーバの開発・商業化を視野に入れた戦略提携と位置づけている。MBRYONICSはアイルランドに本社を置く宇宙向け光通信プラットフォーム開発企業で、NTTのDSPチップを同社のトランシーバやOCTシステムに採用する最初の企業になるとしている。
宇宙通信需要の拡大が背景
背景には、低軌道衛星などを多数連携させる衛星コンステレーションの拡大と、宇宙で扱うデータ量の増加がある。衛星同士、また衛星と地上を大容量かつ低遅延でつなぐ通信基盤の重要性が高まっており、NTTは地上ネットワークで培った光通信・信号処理技術を宇宙分野に展開する考えだ。
NTTは宇宙関連事業をグループ横断ブランド「NTT C89」の下で進めている。4月15日には、JAXAとの連携の下で低軌道衛星MIMO技術と衛星センシング技術の軌道上実証開始を発表しており、2019年からは宇宙と地上をシームレスにつなぐ光無線通信基盤の実現に向けた共同研究も進めてきた。
今回のMoUは、研究構想を宇宙向け機器の実装と事業化検討へ進める一手となる。一方で、モジュールの開発完了時期や実証・打ち上げ時期、搭載先となるOCTの個別名称、顧客、金銭条件などの詳細は明らかにされていない。商用端末への搭載計画がどの時期、どの用途で具体化するかが今後の確認点となる。
