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NTTは2026年5月26日、光トランシーバー内部の通信用デジタル信号処理チップ(DSP)に、通信しながら光ネットワーク全長の状態を可視化する機能を搭載し、動作実証に成功したと発表した。NTTは世界初としており、受信端の小型光トランシーバーだけで専用測定器を使わず、光ネットワークのエンド・ツー・エンド監視につなげる技術と位置付けている。
小型トランシーバーで1,005kmの異常を特定
今回の中核は、従来は外部計算機で処理していた可視化機能を、消費電力や実装面積の制約が厳しい通信用DSPに載せた点にある。NTTは独自技術により、必要な計算処理量を従来比100分の1に削減し、小型のプラガブル光トランシーバーへの搭載を可能にした。
実験では、NTTイノベーティブデバイス製の800GコヒーレントDSPチップを実装したOSFP型トランシーバーを使い、標準的な通信信号である800ZR+/400ZR+を受信・処理した。最大1,005kmの光ネットワークで、複数の光パワー異常の位置を特定できることを確認した。1,000km超の区間を一つの受信端から見通せることは、広域ネットワークの運用監視にとって大きな意味を持つ。
測定結果は、専用測定器であるOTDRの結果と良好に一致し、異常箇所を特定するのに十分な精度を示した。他社製光トランシーバーからの送信信号を受信した場合にも正常に動作し、複数メーカーの機器が混在するマルチベンダー環境への適用可能性も確認した。測定中の通信品質や消費電力への影響も、今回の実証条件で確認している。
AI時代の光ネットワーク運用を見据えた技術
従来、光ネットワーク全長の光信号パワーを把握したり、異常な損失が起きた場所を調べたりするには、OTDRなどの専用測定器を使う作業が必要だった。これは道路の点検車にあたるような役割で、障害調査には有効だが、通信サービスを提供しながら常時、端から端まで監視するには運用上の制約があった。
背景には、生成AIなどの利用拡大に伴い、データセンター間や基幹網を結ぶ光ネットワークが大容量化し、広域化していることがある。通信量が増えれば、障害の早期発見と復旧の重要性も高まる。今回の技術は、通信信号そのものを使ってネットワークの状態を把握するため、監視を装置に組み込みやすい点が特徴だ。
本成果は、2026年3月15日から19日に米ロサンゼルスで開かれた光通信分野の国際会議「OFC 2026」で、ポストデッドライン論文として採択・発表された。NTTは今後、IOWN APNをはじめとする光ネットワークへの実装を進め、常時監視と自律運用の実現に向けて研究開発を加速する。現時点で、商用化時期や実ネットワークへの導入時期の詳細は示されていない。
