本サイトの記事や画像は、AIが公的資料や複数の報道を基に事実関係を整理・再構成し制作したものです。[続きを表示]特定の報道内容や表現を再利用・要約することを目的としたものではありません。ただし、誤りや不確定な情報が含まれる可能性がありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や各出典元の原文をご確認ください。[私たちの取り組み]
理化学研究所は2026年5月20日、創発物性科学研究センターの豊田新悟研究員、小川直毅グループディレクター、十倉好紀グループディレクターらの国際共同研究グループが、光の進行方向だけで反強磁性体のドメイン情報を書き換え、弱い光で読み出すことも示したと発表した。外部の電場や磁場を使わず、光だけで反強磁性ドメインを書き込み、保持し、読み出す全光学的な反強磁性メモリー動作に向けた原理実証となる。
進行方向の反転だけで切り替わるドメイン
研究グループは、フェロトロイダルな反強磁性体であるLiNiPO4を対象に、逆光電気磁気効果を利用した。反強磁性体では隣り合う電子スピンの向きが打ち消し合うため、外から見ると正味の磁化がほとんどない。このため、一般的な磁石のように外部磁場で状態を読み書きすることが難しい。
実験では試料を20ケルビン以下に冷却し、波長1.7マイクロメートルの赤外光レーザーを照射した。光の偏光状態ではなく、光をどちらの向きから入れるかだけで、時間反転関係にある反強磁性ドメインのどちらが安定するかが決まった。光の進行方向を反転させると、ドメイン状態は非揮発的、決定論的、かつ繰り返し可能に切り替わった。
さらに、光を試料上で走査することで任意形状の反強磁性ドメイン構造を書き込むことにも成功した。形成されたドメインは、弱い光を当てた際に生じる透過強度差を光ダイオード効果として捉えることで、光学的に読み出せることも確認した。原論文「All-optical control of antiferromagnetic domains via an inverse optical magnetoelectric effect」は、英科学誌Nature Materialsに掲載された。
反強磁性メモリーへの一歩
今回の新しさは、光の偏光ではなく、光が進む向きそのものを制御パラメーターにした点にある。光の線形運動量と、物質内の磁気トロイダルモーメントが強く結びつく性質を使い、反強磁性ドメインを選んで書き込む道筋を示した。
反強磁性体は外部への磁気漏れが小さく、高速応答や高密度集積に向く材料として期待されている。光で書き込み、磁気的な状態として保持し、光で読み出せれば、光通信インフラとも接続しやすい低消費電力の情報技術につながる可能性がある。ただし、現段階は基礎研究であり、室温で動く物質系への展開、より低いエネルギーでの動作、微細領域での制御やデバイス化が今後の課題となる。
