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リトアニア通信規制当局のダリウス・クリエシウス副議長は26日、ロイターに対し、ロシア領カリーニングラードでGPSスプーフィング用設備が大きく拡充されたとの分析を示した。偽の測位信号の影響は最大で半径450キロに届き得ると同当局は推計しており、想定範囲にはバルト三国全域、ポーランドの大部分、フィンランド、スウェーデン、ベラルーシの一部、バルト海が入る。航行や通信インフラの安全に関わる広域的な問題として、欧州北東部で警戒が強まっている。
36基に増えたアンテナ
この説明では、カリーニングラードにあるGPSスプーフィング用アンテナは2025年初めの3基から現在36基に増えた。スプーフィングは電波を遮る「ジャミング」と異なり、偽の位置情報を受信機に信じ込ませる手法だ。航空機や船舶が自分の位置を誤って把握すれば、針路判断や安全運航に直接影響する。
リトアニア空域では2025年初めから3月初旬までに、操縦士から302件のGPS妨害報告があった。内訳は1月169件、2月118件、3月最初の5日間で15件だった。同規制当局は、カリーニングラードの妨害装置が400キロを超える距離でも航空機に影響し得るとみている。
2025年にはカリーニングラードとバルト海で30を超えるGNSS妨害源が稼働していた可能性がある。GNSSはGPSを含む衛星測位システムの総称で、スマートフォンの地図だけでなく、航空、海運、物流、通信設備の時刻同期などにも使われる基盤技術だ。
民生インフラに広がる懸念
リトアニアの通信規制当局RRTは、バルト地域のGNSS妨害をロシア領から発生する長期的な課題と位置づけている。影響は航空にとどまらず、海運、陸上交通、移動通信、公共安全システム、テレビ放送にも及び得る。
2025年6月26日に国際電気通信連合(ITU)理事会で示された各国共同声明は、2023年以降、ロシア領発の体系的なジャミングとスプーフィングが欧州の民生衛星ネットワークや航空・海上航行、データサービス、テレビ放送に影響していると主張した。声明は妨害源としてモスクワ、カリーニングラード、サンクトペテルブルク、パブロフカ、占領下クリミアを挙げ、2025年6月にはポーランドとリトアニアの広い範囲でGNSS障害が深刻化したとしている。
一方、ロイターによると、ロシア政府は欧州側による電子的妨害の批判をたびたび否定してきた。450キロという数値は、想定範囲全体で同時に同じ強度の障害が発生していることを示すものではない。今後は、実際に障害が出ている地域や頻度、強度を継続的に把握し、各国や欧州連合(EU)、ITUの場で監視、抗議、代替測位などの技術的対策をどう進めるかが問われる。
